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ロボットマウスと人間

国際的な「マイクロマウス」競技大会では、RLS の最新磁気式エンコーダをはじめとするこれまで以上に精巧なエレクトロニクスデザインが見られ、未来のエンジニア達にインスピレーションを与える大会になりました。

この大会の面白い点は、最短時間で 16×16 マスの迷路の中心まで自力で到達するロボットマウスを設計、構築、プログラミングすることです。マイクロマウスイベントでは、賢い熟練エンジニアも大きな感銘を受けるだけでなく、学生も大きなインスピレーションを受けており、優勝した Derek Hall 氏のマウスと UK 2008 トロフィーこのコンテストには、高校生から一流コンピュータ会社のエンジニアや一流大学の学生まで、誰でも参加することができます。

優勝するマイクロマウスの設計

マイクロマウスは、毎回レイアウトが異なる迷路を、開始点の 1 つのコーナーから中央のゴールまで自力で進むことが求められます。競技では、何回か走行を行うことができ、合計時間と最短時間の組み合わせでスコアが出されます。

トップレベルの競技は熾烈を極め、搭載処理能力、スピード、操作性の間でバランスを取りながら、グラム単位の重量の低減に努めて設計を行うことが求められます。現在の英国大会のチャンピオン Derek Hall 氏は、複雑な SMT エレクトロニクスとカスタム設計基板を使用したマウスを設計しています。しかし、彼のマイクロマウスのパフォーマンスに大きな差を生み出したのは、駆動システムのサーボフィードバックのために新しく追加した Renishaw の磁気式エンコーダでした。Hall 氏は、Renishaw 磁気式エンコーダのチップバージョンを使用していますが、彼の長年のライバルで過去の優勝者、Alan Dibley 氏はオンボードバージョンを使用しています。

並ぶもののない Renishaw 気式エンコーダ

Dibley 氏は、Renishaw エンコーダの使用を決めた理由について次のように説明します。「小型基板形態の AM256 は、このように小さく複雑な機械でも接続と取り付けが簡単です。これには磁気式エンコーダの高い堅牢性という特性が非常に重要になります。光学式エンコーダは埃が進入しますが、密閉型の光学式エンコーダは価格が高すぎます。Renishaw 磁気式エンコーダは非接触式で、駆動システムに追加摩擦が引き起こされないことが決定的でした。このようなエンコーダは他にありません」

さらに次のように続けます。「エンコーダとインターフェースを結ぶのも非常に簡単で、使用している PIC チップに直接信号を送って、各ホイールの移動距離に関する情報が得られます。オンボードプログラムは、常に現在位置を把握するために、マウスの移動距離を認識する必要があります。これにセンサーからの信号を組み合わせることで、通常、行き止まりまで来たときや、マウスの側面が壁の端を超えたときなど、壁がどこにあるかを分析することができます。」

エンコーダとインターフェースを結ぶのも非常に簡単で、使用している PIC チップに直接信号を送って、各ホイールの移動距離に関する情報が得られます。

Micromouse (UK)

基本プロセッサから最新テクノロジまで

英国のマイクロマウス競技大会は、Nick Smith 氏が ZX80 コンピュータを使用して、迷路の中を自力で進む初のマウスを製作した 1980 年に始まりました。その後急速に関心が高まり、1983 年の Johnny Ball の「Think of a number」をはじめとするテレビ番組でも取り上げられました。

現在の競技では、参加者は 2 輪駆動の車椅子型構造を使用しており、前と後にパッドを置いてバランスを取り、フロントと時にはバックにも赤外線の壁センサーを配しています。ステッパモーターは非常に馬力がありますが、加速性を改善するために、DC モーターとエンコーダが使用されています。ホイールには、特殊なゴムを使用してグリップ性を高め、モーターから 1G 以上の加速度でマウスを駆動できるようにしています。マウスのサイズは 25cm(幅)×25cm(長さ)以下と指定されており、高さと全体重量に制限はないものの、コンポーネントが重いとパフォーマンスとバッテリー寿命が低下します。

当然のことながら、パフォーマンスにはマウスのプログラミングが非常に重要になります。迷路探索ロジックでは、マウスの移動距離とすべての方向転換に加え、壁の端を超えたかどうか、壁に近づいているかどうかを考慮する必要があり、これらすべての要因から、開始地点のコーナーからの未知の迷路の地図を作成して、そのレイアウトを記憶する必要があります。すべてのグリッドブロックを克服して迷路の中心まで到達したことを認識すると、マイクロマウスはスタート地点に戻り、前回の方向転換地点を正確に記憶しながら、より速く最短ルートを探すことに挑戦します。最善なルートを探すために行った走行が少なければ少ないほどいい結果が得られるため、使用するロジックが非常に大切になります。

競技大会では、明確なルールが定められており、迷路には厚さ 12mm 以下で高さ 5cm の壁が使用され、18cm のグリッドパターン上に、中央までランダムに選択されたルートが形成されます。迷路が披露される前に、競技大会の役員がマウスを受け取り、「ケージ」に入れる必要があります。マウスハンドラーは、ケージからマウスを取り出した瞬間から 1 分間が与えられ、この時間内にマウスセンサーに調整を加えることができますが、戦略を選択したり、迷路レイアウトに関する情報をメモリに入力したり、取得したりすることは認められていません。

明日のエンジニアにインスピレーションを与える

マイクロマウスのコンセプトは、様々なレベルで実践することができます。例えば、大学の卒論プロジェクトに使用したり、簡素化して学校で競技大会を開くこともできます。RLS では、学校用に壁伝いロボットと線伝いロボット(壁を使用しないもの)という 2 種類のキットを用意しています。

マイクロマウスには、エンジニアリングの多くの側面を組み込むことができるため、機械設計や電子設計、プログラミングなどの教育の場に使用するにも最適で、現行設計を改善するために最新テクノロジーを使用する機会になります。

1983 年の Johnny Ball の「Think of a number」でマイクロマウスを披露する Alan Dibley 氏