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メトロロジーシステムに依存する石油・ガス精製の主要コンポーネント

石油・ガス装置製造セクターで活動する企業にとっては、記録の管理とトレーサビリティが不可欠です。スコットランド、ダンファームリンに拠点を置く FMC Technologies は、全社規模にわたって運用される品質管理活動の一環で、予防メンテナンスプログラムに継続的に投資しており、レニショーの工作機械用プローブキャリブレーション製品を導入して、CNC 工作機械の寸法精度のチェックと検証を行っています。

FMC Technologies は、テキサス州ヒューストンをベースとする 石油・ガス用 PCS(製造制御システム)の開発製造会社です。PCS はトップサイド(地表)コントローラ、電力装置、SCM(海底制御モジュール)、各種センサー、海底電気/油圧配送装置から構成されています。システムは、状況と要件に応じて全体を設定することができ、石油ガス生成プラットフォームで活動するエンジニアは、これを使用して油田を正確に制御することができます。

FMC Technologies は、世界中の主要油田の近隣に拠点を設置しています。同社の英国法人は、エジンバラから程近く、フォースロードブリッジを渡ったダンファームリンのピトリーヴィービジネスパーク一帯のいくつかの建物で活動を行っています。

FMC Technologies メンテナンス技術者のクレイグ・シンプソン氏とマイク・ウェスト氏は、メーカーや使用年数もさまざまな各種タイプにわたる 20 台の CNC 工作機械の整備とサポートを担当しています。さらに、同社の最新投資の一つとして、250 万ポンドを投じて設計開発された SCM 加工セルも担当しています。これは、Okuma Space Centre MA-600HB CNC 水平ボーリング機 2 台を Fastems 自動化システムに搭載して制御するものです。

SCM には、油井の弁やチョークを安全かつ効率的に運転するためのエレクトロニクス、計器、油圧装置が搭載されています。

クレイグ・シンプソン氏はこれについて次のように説明します。「SCN の主要加工パーツとしては、高圧アダプタプレートと低圧アダプタプレート、マニホールドブロック自体とベースプレートの 4 つがあります。さらに、アセンブリ全体に多数の小型弁と電子基板が使用されています。」

油田は、精製プラットフォームから 120 キロも離れていたり、海底 1 万フィートの場所にあることがあります。このような状況で安全かつ確実に石油やガスを精製するには、多額の投資が必要になります。SCM を海底に据え付ける場合は、時に数十年間に渡って使用されることになる油田の寿命を通して、確実かつ安全に精製に使用できることが要求されます。また、油圧弁は、欠陥や汚れがないことが要求されます。重要パーツに異常が発生すると、数千ドルから数万ドル規模の損害が発生します。

同社は、Fastems の自動化セルを使用して、SCM アセンブリの主要制御要素のステンレススチール製油圧マニホールドブロックを加工しています。重量 267kg のこのブロックは、約 400mm×400mm×400mm で、350 の穴が開けられています。2014 年にはセルの完全運転体制が整い、停止することなく稼動を続けることができるようになるため、同社では 200 以上のマニホールドブロックを製造することを予定しています。加工サイクルで工具折損が発生すると、レニショーの NC4 レーザー工具計測システムが工具の欠如を検出して、Fastems システムに通知し、ここでパレットがスクラップされ、別のものと交換されます。

処理原則

FMC Technologies は、同社が 5 つの絶対品質原則と呼ぶ指針を確立しており、その 2 番目の原則では、品質の「原因評価」ではなく、予防の重要性を強調しています。「新しいセルでは、徹底した品質管理が行われています」とシンプソン氏は説明します。「完成パーツの 100% 検査を行い、アセンブリに送る前に完璧で傷がないことを確認しています。」例えば、各 SCM マニホールドブロックの加工には最大 35 時間を要するため、Fastems の Okuma ボーリング機が仕様どおりの性能で機能していることを確認する必要があります。機械の配置が不正確なために、半完成パーツや完成パーツをスクラップする場合は、経費が非常に高くつきます。

「ここでは、トレーサビリティが非常に重要になります」とシンプソン氏は言います。「私たちは、加工プロセスの完全な記録を維持することが重要になります。何らかの理由で機械の位置合わせが不正確になった場合に、それがいつ発生したかを確認できるようにする必要があります。このようにして問題を解決できれば、機械の精度を完全に確認することができます。」20 台の機械の精度を保証するために、FMC Technologies のメンテナンス部門では、年間で時に 3 回の全機整備を実施しています。すべての機械は、レニショーの QC20-W ワイヤレスボールバーでチェックします。Okuma ボーリング機の整備は年間 2 回実施し、このタイミングで機械の配置をチェックして修正します。更に、年に一度はレニショーの XL-80 レーザー計測システムでチェックしてリニアリティーを修正しています。また、年間整備時には、2 年置きに全機械のレベルと位置決めを確認し、XL-80 システムでチェックしています。

「定期整備時には、工場の各機をレニショーのボールバーでチェックしています」とシンプソン氏は説明します。「これらの記録を維持しているため、完成パーツや出荷パーツに障害や問題が発生した場合でも、そのパーツの製造時に機械の精度と位置決めに問題がなかったことを証明することができます。精度問題が発生した場合には、レニショーのボールバーで再度チェックし、その結果を記録と比べて、機械の寸法精度にどの程度の影響が発生しているかを確認することができます。」

「レニショーのレーザーは、主に位置決め寸法をチェックするために使用しています」とシンプソン氏は続けます。「我が社は、Okuma 機を含むほとんどの機械にレニショーの RMP60 タッチプローブを使用しているため、位置決め移動が正確であることを確認する必要があります。」FMC Technologies では、無線信号伝達方式の 11 の RMP60 タッチプローブを含む整備契約をレニショーと結んでおり、この一環で年に一度、または損傷時にプローブを交換しています。FMC Technologies は、当初、主に製造記録を維持するために CNC Reporter ソフトウェアを購入しました。しかし、その有用性を認識した同社のメンテナンス部門では、最近追加ライセンスを購入しました。

「レニショーのパッケージは、データの比較に非常に役立ちますが、値段は高くありません」とマイク・ウェスト氏は言います。「そのため、メンテナンス作業専用に 6 つのライセンスを追加購入しました。」シンプソン氏は次のように付け加えます。「CNC Reporter を使用すると、精度問題が発生した場合でも、グラナイト直角定規や平行棒を使用したり、テーブルからパーツを排除したりしなくても済むため、時間の節約になります。」FMC Technologies は SCM セルの機械チェックとキャリブレーションを高速化するために、定期メンテナンスや機械のチェック時に Okuma 機に取り付けて使用するカスタムキャリブレーションブロックを設計および製作しました。

「現在、SCM セルに新しいパレットサイズを導入しており、一部の再プログラミングを、オフラインではなく、Siemens NX CAE システムで手動実施しています。この場合には、ちょっとした衝突が発生する可能性が高くなります。実際に、最近わずかな衝突を経験しました。その際には、最初にレニショーボールバーを実行して 3 軸の直角度を確認しました。さらに、テストバーで Y 軸をチェックして、結果を CNC Reporter のデータと比較しました。これにより原点位置に影響が出ていることを確認したため、テストブロックで機械に新しい原点位置を再設定しました。」

クレイグ・シンプソン氏もマイク・ウェスト氏も、レニショーの XL-80 レーザー計測システム、QC20-W ワイヤレスボールバー、CNC Reporter ソフトウェアがとても簡単かつ直感的に使用できると口を揃えて言います。「最初にレニショーのエンジニアから 1 週間のトレーニングを受けました」とウェスト氏は説明します。「問題や質問がある場合は、グロスターシャーのレニショー本社に電話をすれば、たいていすぐに回答が得られますが、そうではない場合でも、誰かがその日に折り返し電話をくれます。」FMC Technologies の絶対品質原則の第 5 原則では、品質管理の目標は顧客に満足してもらうことではなく、顧客が成功することだと謳っています。同社は、SCM をはじめとする同社の製造管理システムが世界の 1 千以上の海底油田で使用され、そのアップタイム率は 99~100% だと言います。

クレイグ・シンプソン氏は、それでもダンファームリンの FMC Technologies のメンテナンスプログラムが常に進化していると説明しています。「私が 6 年前に入社したときは、予防メンテナンスがあまり体系化されておらず、多くの時間がかかりました。現在は、体制が整っているだけでなく、レニショーの装置を使用することで、機械とプロセスについて多くのデータを把握しています。我が社では常に向上を心がけています。絶対品質原則の第 3 原則に謳われているとおり、我が社のパフォーマンス基準は「欠陥ゼロ」で、この工場から完璧なもの以外を出荷することはありませんが、レニショーの製品なくては、これは不可能です。」

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