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ストレインゲージプローブは 5 軸航空機部品に最適

航空機関連の張り出し成形に専門加工技術をもつトライアンフ製作所では、放物線状曲面や複合曲面あるいは円錐形状を含まないパーツや金型はほとんど見られません。

これらのパーツの加工工程で実施する(工作機械内の冶具に固定したままでの)高速精密計測は、リーン生産方式推進のために、自社のCAD/CAM開発部が開発し、練り上げた中核技術です。しかし、洗練された「タッチ」性能を持ったRMP600ストレインゲージプローブが登場して初めて、小径穴の直径、円周、形状公差など言うに及ばず、様々な測定を安定して高精度に行うことが可能となりました。ストレインゲージプローブは、方向特性(3次元トリガー出力特性)がなく、繰り返し精度 0.25μm という性能から、キャリブレーションルーチンを一回実行後は、あらゆる方向での高精度の計測を実現します。

RMP600プローブにレニショーOMV Pro ソフトウェアを組み合わせて使用すると、同社の Zimmerman CNC 5軸門型フライスに三次元測定器のような機能が加わります。他の計測装置で測定結果を再確認すると、ほぼ毎回測定差が0.025mm以内 (0.001)に留まり、複雑形状パーツを加工機械から即、出荷できるまでになります。そのため、機械から外して本当の3次元測定器(CMM)で寸法確認する作業は実質的に排除され、高価値パーツの取り外しや冶具へ再装着する作業による製造時間の延長、起こりえる損傷や精度問題に起因する時間のロスを短縮することができます。

航空機産業向けの鋼板、引き抜き材、圧延ロール材及び軽金属板の張り出し成形は、トライアンフ製作所の中核技術です。同社のプレス加工能力は10 トン ~ 750トン、そして、シリルバス社のプレス機に「ブルドーザー」アタッチメントを装着した際には150トン と 400 トンの逆張り出し成形能力があります。また、多種多様な金属板による複雑な単層および多層成形を支える独自の張り出し成形技術を持っています。

特許取得済 RENGAGE 技術により、一回のキャリブレーションで、あらゆる方向からのプローブ計測が可能

航空機産業向けの鋼板、引き抜き材、圧延ロール材及び軽金属板の張り出し成形は、トライアンフ製作所の中核技術です。同社のプレス加工能力は10 トン ~ 750トン、そして、シリルバス社のプレス機に「ブルドーザー」アタッチメントを装着した際には150トン と 400 トンの逆張り出し成形能力があります。また、多種多様な金属板による複雑な単層および多層成形を支える独自の張り出し成形技術を持っています。

CAD/CAM 部マネジャー、ゲーリー・メドロック氏は、同社の目標であるサイクル時間の短縮、再加工の排除、パーツの加工に複数の冶具を使用する際に起こりがちなエラーの低減に、オンマシーンプローブ計測は必須、と言います。「パーツを3次元測定器へ移動して測定するよりも、加工が終了した直後に計測するほうが望ましい」と彼は言います。「元々高価なパーツなのですが、Zimmerman工作機による加工一つ一つで更に価値が付加されます。リーディングエッジ成形用金型(添付写真)のようなパーツの場合、もしオンマシーンプローブ計測を実施しない場合は、一日かかって機械から取り外して測定、その後また機械に取り付けて芯出しをするか、パーツの加工を完全に終了してから寸法計測します、再加工がいらないことを祈りながら・・。次の加工ステップで更なる付加価値を付ける前に、各工程毎にオンマシーン(加工工程途中)計測により、それが仕様通りか否かを確認します。

Zimmermanフライス機で加工されるパーツは多くの場合、厚さ0.635mm (0.025”) ~3.18mm (0.125”) の成形された鋼板で、これに穴加工と切り落としの切削加工が必要です。パーツは真空吸着して固定されます。航空機のアプリケーションで一般的な、穴サイズ 2.5mm (0.098”) ~ 9.5mm (0.375”) はドリルで下穴をあけてから、 精度 0.05mm (0.002”)、真位置トレランス 0.30mm (0.012”) ~ 0.71mm (0.028)のリーマ加工をします。「穴の寸法と真位置の計測は、RMP600プローブで行います。1mm (0.039”)超硬軸またはステンレス軸のスタイラスに 50mm (1.97”) のエクステンションを継ぎ足し、ダブルタッチ方式で使用しています」とメドロック氏は説明します。「深穴の奥まで届く、超硬球スタイラスを選びました。オリエンテーションにさえ注意すれば、超硬球スタイラスでほとんど何でも計測することができます。RMP600プローブで 50mmのエクステンションを使用すれば精度を低下させることはなく、プローブをワークから離れた位置に置けるようになり、衝突の可能性が最少限に抑えられます。また、衝突しても修理コストを抑えることができます。ダブルタッチ方式を使用しているのは、ソフトウェアで使用する速度と同じ速度でキャリブレーションがされており、タイミングと角度がみな確立されているからなんです」

機械のキャリブレーションは、機上でのプローブ計測の結果と、機械に対する信頼度を高め、トライアンフ社の成功を導いた重要な要因のひとつです。「工作機械は、廃棄となった場合を除き、レーザーとボールバー計測器を使用して、年に1回、キャリブレーションを行います」と メドロック氏は述べます。「それと、機械内にキャリブレーション用の小型基準球が装備されており、週に1回、一連の既知角度でプローブがそれにタッチして機械の回転中心のキャリブレーションを実施します。これらの計測結果は、過去2年分のデータと一緒に棒グラフで表示します。そうすると、どのような現象が起こりつつあるかが簡単に読み取れます。さらに、円錐や球、溝、その他の形状で構成されたトレーサビリティーを持つ基準冶具を用意しており、QC プログラムに従ってパーツに変更があった場合はいつでも、それをプローブ計測してトレーサビリティを確保しています。

Triumph社はZimmerman 門型フライス機を2台所有しています。.新しい方の モデル、2008年製 FZ-30 には Siemens 840D コントローラが装備されています。.同機のX、Y、Z 各軸のストロークは 6 x 2.8 x 1.5m (236” x 110” x 59”) で、A軸は110度、C軸は360度 です。スピンドルの最大出力は 40 kW、トルクは48Nm で、最高回転数は 25,000 rpmです。工場全体が恒温工場になっています。「この機械の空間精度は 0.1mm (0.004”)、使い込まれた大型工作機械ですが、この値は標準的な 3次元測定器(CMM)の精度に匹敵します」とメドロック氏は続けます。

RMP600には優秀な機能がいくつもありますが、直径1mm球のスタイラスを使用して小径穴の真の直径を、最小 (0.098インチ)まで測定できることを我々は実証しています」とメドック氏は言います。

Triumph Fabrications (UK)

「プローブの装備がなければ、パーツを外して3次元測定器(CMM)のある計測室へ運びそこで計測して、またこちらに戻して、段取り/芯出しをすることになります」「前回同様に確実に、個々のセットアップ/段取り/芯出しを行うために、確認用の溝や他の基準形状を新たに用意しなければならないため、その分パーツのコストがかさみ、形状の寸法検査を完了するために1日ムダにしてしまうことは言うまでもありません。

今の時代に、新たなセットアップのたびに不確実性が生じることは、リーン 生産方式に則った操業では全く容認されません。平均すると、プローブ計測のサイクルタイムは、概ね加工のサイクルタイムと同じぐらいです。しかし、これは広範に亘る平均値で、形状の数にもよりますが、パーツによってはこれよりもずっと短い時間で計測が終了します。例えば、穴をプローブ計測する場合、平均サイクルタイムは一箇所あたり約8秒です」

トライアンフ社の成功要因として他に、モデルと幾何形状のプログラミングがあります。「きちんと計測を実行したいと思うのであれば、パーツに全ての形状が入った状態でなければなりません」と、メドロック氏は強調します。「通常、STEPファイルをレニショー OMV Pro ソフトウェアにインポートして、オフラインでプローブ計測のプログラムを作成することから始めます。このソフトウェアが、プローブ計測ルーチンのシミュレーションを実行して衝突を検出します。本ソフトに装備されている「オートオリエント」機能は、手動で必要な角度の入力をしなくても、自動的にプローブを適切な計測位置にオリエント(角度割り出し)させます。形状は幾つもの方法で計測することができます。穴の計測を例に取れば、円としても、円筒としても計測することもできます」

プローブ計測プログラムはCNCコントローラで実行され、測定データを取り込みます。そのあと、3次元測定器(CMM)のような演算を行う、オフラインのレニショーOMV ソフトウェアがそれを評価します。同ソフトウェアは、測定データをデータマップ/モデルファイルと比較して、グラフおよび数値レポートを作成します。公称値からの偏差量をレポートし、その範囲をグラフにします。

OMVソフトウェアのGD&T ウィザードは、プログラマーにレポート作成の手順をサポートします。工作機械からの計測結果と加工図面が比較できるよう、国際的に認知されたシンボルを使用するエレメントベースの標準レポートの作成工程を、ひとつひとつ示します。「今のところ使用しているのは、直角度、傾斜度公差、平面度、位置公差です」と、メドロック氏は付け足します。

従来型のプローブとは異なり、ストレインゲージが組み込まれた RMP600プローブの場合、測定方向毎にキャリブレーションする必要はありません。これにより5軸加工環境では、大幅な時間短縮が図れます。「5軸のアプリケーションですので、全ベクトル方向で測定します。RMP600に内蔵のストレインゲージトリガーシステムにより、スタイラスのタッチがどの方向からであっても、良好な測定値(同じ数値)が得られ、5軸加工環境にはうってつけです。5軸加工の場合、プローブは普通考えられないような特殊な姿勢で使用され、スタイラスボールがアクセス可能なあらゆる方向からタッチします。我々は、RMP600プローブで計測した場合、もしも同じ計測をもう一度行うと、全く同じ測定値が得られることを確認しています。RMP600には優秀な機能がいくつもありますが、直径1mm球のスタイラスを使用して小径穴の真の直径を、最小 (0.098インチ)まで測定できることを我々は実証しています」とメドック氏は言います。

RMP600 は従来型プローブとは根本的に異なり、特許取得済みRENGAGE™ センサーシステムの内蔵で、従来型工作機械プローブ全てで見られる方向特性というエラー要因が排除されます。測定精度に悪影響を与えるほど方向特性が大きい場合、計測を行う全ベクトル方向毎にプローブをキャリブレーションして補正しなければなりません。これには複雑なキャリブレーションサイクルと大量のプローブオフセットの管理が必要となります。

RMP600ではこの作業が不要です。ストレイン(ひずみ)ゲージが、スタイラスにかかる接触圧力を計測し、ひずみの閾値を超過した時点でトリガー信号を送出します。その結果、測定圧力が低いため、スタイラスのたわみが少なく、サブミクロンの繰り返し精度(0.25μm 2σ)を持ち、方向特性のない、真の3次元のトリガー特性を実現しました。RMP600プローブは特に、3次元曲面に対して色々な方向から測定を行う、あるいは芯出しを行うようなワークへのアプローチ方向がはっきりわかっていない場合に、格段に高精度な測定性能を提供します。プローブ内部の信号処理回路により、ストレインゲージに加わったひずみ量が、パーツ面に接触して発生したものか、あるいは偶発的に発生したものかを判定し、衝撃や振動による予期せぬ信号の出力を排除します。

「絶対に忘れてならないのは、突き詰めれば、プローブの精度というのは工作機械の持つ精度で決まってしまうということです」とメドロック氏は断言します。「機械の能力や機械の状態に関する知識と、これまでのキャリブレーション履歴などから、プローブでの寸法計測は、3次元測定器(CMM)で行う寸法計測と同レベルと、我々は捉えています。機械は基本的に、3次元測定器(CMM)での要求条件と同等レベルでテストとキャリブレーションが行われ、 0.38mm (0.015”)のパーツ形状精度を優に達成する能力があります。私たちの加工するパーツ上に存在する全ての形状を備えた寸法既知の基準ゲージをプローブ計測することで、この測定性能を検証することができます。この機械は機械精度が高精度で、5軸機能を装備するため、我々が必要とするパーツ計測にストレインゲージプローブがより適していることを証明しました。定期的に他の測定器を使用して精度をダブルチェックしていますが、1/1000インチ以上の差が現れることはほとんどなく、プローブ計測に対する高い信頼度、そして高い運用効率が得られています」